SAP S/4HANA財務会計入門

1.1 ERPの中で財務会計が果たす役割

ERPは、販売、購買、在庫、生産、人事、会計などの業務を共通のデータとルールで処理する仕組みです。会計ソフトでは経理担当者が仕訳を直接入力する場面が中心ですが、ERPでは営業や購買の処理から会計伝票が自動生成される場面が多くなります。財務会計を学ぶときも、伝票入力だけでなく、どの業務が伝票の発生源になったかを確認します。

例として、商品を掛けで販売した取引を考えます。販売部門は受注と請求を処理し、物流部門は出荷を記録します。請求が会計へ連携されると、売掛金と売上が記録されます。同じ取引が、販売では「誰に何を売ったか」、物流では「何を出荷したか」、会計では「いくらの債権と収益が生じたか」という形で表されます。

受注 -> 出荷 -> 請求 -> 会計伝票 -> 財務報告
 業務     物流     SD        FI        決算書

SAPのFinancial Accountingは一般にFIと呼ばれます。FIは、総勘定元帳、債権、債務、固定資産、銀行などを扱い、外部報告に必要な記録を作ります。ControllingはCOと呼ばれ、原価や利益を管理目的で分析します。S/4HANAではFIとCOのデータ統合が進んでいますが、目的の違いは残ります。

観点FICO
主な目的法定会計と外部報告社内の管理と意思決定
主な問い資産、負債、収益、費用はいくらかどの部門・製品・活動で原価や利益が生じたか
主な単位会社コード、G/L勘定管理領域、原価センタ、利益センタなど
この巻の扱い基礎を詳しく扱う組織単位との関係だけを扱う